うつ病と診断されたあなたへ。ショックや不安、これから知ってほしいこと
うつ病と診断されたばかりで、今、混乱や不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。頭の中が真っ白になったり、「どうして自分が」「これからどうなるんだろう」と、さまざまな思いが駆け巡っているかもしれませんね。
診断を受ける前もつらい日々だったと思いますが、診断という形になって、また別の種類のしんどさや戸惑いを感じている方もいるのではないでしょうか。
一人で抱え込まず、大丈夫ですよ。ここでは、うつ病と診断された方が、少しでも気持ちを整理し、これからの一歩を踏み出すために知っておいてほしいことをお伝えしたいと思います。
診断は「終わり」ではなく「始まり」
まず、うつ病という診断は、決してあなたの「終わり」や「レッテル」ではありません。むしろ、今起きている心や体の不調に名前がつき、回復に向けた道のりが始まるサインだと捉えてみてください。
病名がついたことで、ショックを受ける方もいます。でも、それはあなたの性格や努力不足のせいではなく、脳の機能に一時的な変化が起きている状態なのです。診断は、その状態を正しく理解し、適切なサポートや治療につなげるためのものなのです。
自分を責める必要は全くありません。今はまず、つらい状況にある自分自身をねぎらい、受け止めてあげてください。
うつ病について、これから知っておいてほしいこと
診断を受けて、うつ病についてもっと知りたいと感じる方もいるかもしれません。ここでは、基本的なことをいくつかお伝えします。
- うつ病は誰にでも起こりうる病気です。 珍しい病気ではなく、多くの人が人生のどこかで経験する可能性のある、ごく一般的な病気の一つです。
- 原因は一つだけではありません。 ストレス、環境の変化、体の病気、脳の機能的な変化など、様々な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。特定の出来事や原因が思い当たらなくても、ご自身を責めないでください。
- 回復が可能な病気です。 適切な休養、治療、そして周囲の理解とサポートがあれば、回復していくことができます。時間がかかることもありますが、希望を持つことは大切です。
今は難しく感じるかもしれませんが、少しずつ病気への理解を深めていくことは、回復への道筋を考える上で役立つでしょう。ただし、一度にたくさんの情報を詰め込もうとすると疲れてしまうこともありますから、ご自身のペースで進めていくことが大切です。
これからの一歩。まずは「治療者」に任せてみる
診断を受けたら、これからの治療について医師から説明があるはずです。最初は不安かもしれませんが、まずは医療機関の指示に従って、治療者(医師やカウンセラーなど)に回復のプロセスを任せてみることから始めてみましょう。
- 休養を最優先に: うつ病は心と脳が疲れている状態です。まずは十分な休養を取ることが最も重要です。頑張りすぎず、心と体を休ませてあげてください。
- 焦らないこと: 回復は一進一退を繰り返しながら進むことがよくあります。良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、全体として少しずつ上向きになっていきます。すぐに「前と同じ自分に戻らなきゃ」と焦る必要はありません。
- 完璧を目指さない: 日常生活もままならないことがあるかもしれません。そんな時は、できることだけをすれば十分です。食事や入浴なども、完璧にできなくても大丈夫。「まあ、今日はこれくらいでいいか」と、自分に優しくしてください。
治療者との関係を築き、疑問や不安があれば率直に伝えてみることも大切です。一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら進んでいきましょう。
誰かに話してみること、つながりを感じること
うつ病のつらい症状の一つに、孤独感があります。「誰にも分かってもらえない」「一人ぼっちだ」と感じて、余計に落ち込んでしまうことがあります。
でも、あなたは一人ではありません。
- 信頼できる人に話してみる: 家族や友人、職場の同僚など、安心して話せる人に、つらい気持ちや今の状況を打ち明けてみるのも一つの方法です。全てを理解してもらうのは難しくても、話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になることがあります。
- 相談できる場所を探す: 医療機関の相談窓口、公的な相談機関、民間の支援団体など、専門家や同じ経験を持つ人が話を聞いてくれる場所もあります。インターネットで匿名で相談できるサービスもあります。
- 同じ経験を持つ人の話に触れる: 「みんなの回復ノート」のような体験談を共有する場に来てくださったように、同じような経験をした人の話を読むことも、孤独感を和らげ、「自分だけではないんだ」という安心感につながります。
希望を持って、小さな一歩を
うつ病からの回復は、魔法のように突然全てが解決するわけではありません。しかし、適切なケアと時間があれば、必ず回復に向かっていきます。
今は絶望的な気持ちの中にいるかもしれません。でも、少しずつでも、
- 今日はカーテンを開けてみた
- 一口だけ何か食べてみた
- シャワーを浴びてみた
- 横になる時間を増やしてみた
- 誰かのブログを読んでみた
といった「小さな一歩」や「小さな変化」に気づくことが、回復への道につながります。
もし今、「何もできない」と感じていても、それは病気の症状です。自分を責めず、ただ、心と体を休ませることに専念してください。回復への道は、休むことから始まります。
最後に
うつ病と診断されたこと、そして今感じているつらい気持ちは、あなたが弱いからでも、あなたが何か間違ったことをしたからでもありません。誰もがなりうる病気にかかり、今、休息とケアを必要としている状態なのです。
どうか、ご自身を責めないでください。そして、一人で全てを抱え込もうとしないでください。医療の力、周りの人のサポート、そして同じ経験をした人たちの声に耳を傾けながら、ゆっくりと、一歩ずつ進んでいくことができます。
「みんなの回復ノート」は、同じような経験をした人々が集まり、支え合う場所です。ここで、あなたの気持ちを共有したり、他の人の体験談からヒントを得たりすることもできるかもしれません。
今は、ご自身の心と体を大切にすることから始めていきましょう。回復への道は、きっと開けていきます。