心療内科・精神科に初めて行くとき。何をどう伝えればいいか
心や体の不調を感じて、「もしかしたら病院に行った方がいいのかな」と考えたとき、心療内科や精神科の受診を検討される方もいらっしゃるかもしれません。でも、「初めての診察で何を話せばいいんだろう」「自分の状況をうまく伝えられるか不安だな」と感じ、なかなか一歩を踏み出せない方も少なくないのではないでしょうか。
初めての場所に足を踏み入れるときは、誰でも緊張したり、迷ったりするものです。ましてや、自分の心や体のつらさを話す場所となると、なおさらですよね。
このページでは、初めて心療内科や精神科を受診するときに、少しでも気持ちが楽になり、診察に臨みやすくなるようなヒントをお伝えしたいと思います。
診察では、何を話せば良いのでしょうか?
医師は、あなたが今感じているつらさや困りごとを理解するために、いくつか質問をします。全てを完璧に話す必要はありませんが、一般的に以下のようなことを尋ねられることが多いです。
- 今、最もつらいと感じている症状は何ですか?
- 気分の落ち込み、不安感、イライラ、涙が出やすい、といった心の状態
- 眠れない(寝つきが悪い、途中で目が覚める、早く目が覚める)、食欲がない、体がだるい、頭痛や腹痛、といった体の状態
- 集中できない、考えがまとまらない、といった思考の状態
- その症状は、いつ頃から始まりましたか?
- 具体的な時期(〇ヶ月前から、昨年の夏頃からなど)
- 症状のきっかけに心当たりはありますか?
- 仕事や学業での変化、人間関係の悩み、ライフイベント(引越し、卒業・入学、身近な人のことなど)など、もしあれば
- 症状によって、日常生活でどのようなことに困っていますか?
- 学校や仕事に行けない、家事ができない、人と会うのが億劫になった、趣味を楽しめなくなった、といった具体的な状況
- 症状は一日の中で、あるいは一週間の中で、どのように変化しますか?
- 午前中がつらい、夜になると少し楽になる、週末は比較的調子が良い、など
- これまでに、似たような症状や、心の病気と診断された経験はありますか?
- ご家族で、心の病気を経験された方はいらっしゃいますか?
- 現在、飲んでいる薬はありますか?
- 他の病気で処方されている薬、市販薬、サプリメントなど
これらの質問に対して、すぐに答えられなくても大丈夫です。「よく分からない」「思い出せない」と正直に伝えても問題ありません。医師は、あなたの言葉を通して、今の状況を理解しようとしてくれます。
上手く話せるか不安…準備しておくと良いことは?
「話したいことがたくさんあるのに、いざとなると頭が真っ白になりそう」「自分の気持ちをうまく言葉にできる自信がない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そんなときは、少し準備をしておくと、落ち着いて診察に臨めることがあります。
- メモに書き出してみる:
- 先ほどの「診察で聞かれること」を参考に、今の症状や困りごと、いつから始まったかなどを簡単に箇条書きでメモしておくと安心です。話す順番や内容を完璧に構成する必要はありません。思いつくままに書いてみましょう。
- 特に伝えたいこと(例えば、「仕事に行けないのが一番つらい」「夜眠れないのが本当に苦しい」など)を明確にしておくと、診察の焦点を合わせやすくなります。
- 正直に話す勇気を持つ:
- つらい状況を話すのは、とても勇気がいることです。でも、正直に話すことが、医師があなたの状態を正しく理解し、適切なサポートを考えるための第一歩になります。
- 「こんなことを言ったらどう思われるだろう」といった心配もあるかもしれませんが、医師はあなたの味方として、解決策を一緒に探してくれる存在です。安心して話してみてください。
- 完璧を目指さない:
- 診察は、あなたの状態を正確に伝えるための「テスト」ではありません。うまく言葉にできなくても、話がまとまらなくても大丈夫です。
- もし、言葉に詰まってしまっても、焦る必要はありません。「えっと」「あの…」と間があいても、医師は待ってくれます。メモを見ながらでも良いですし、「うまく言えないのですが…」と伝えても構いません。
診察中に気をつけることは?
- 医師の質問に耳を傾ける: 医師が話を聞いてくれるだけでなく、あなたに質問をしたり、説明をしてくれたりします。質問の意図が分からなければ、遠慮なく聞き返しましょう。
- 分からないことは「分からない」と言う: 診断名や治療法について説明があったとき、理解できないことがあれば、「すみません、もう少し詳しく教えていただけますか?」と伝えてみましょう。納得できないまま進めるよりも、疑問を解消することが大切です。
- 薬が出たら、飲み方や注意点を確認する: もし薬が処方された場合は、何のために飲むのか、いつ飲むのか、どのくらい飲むのか、副作用にはどんなものがあるかなどを確認しておきましょう。不安な点があれば、その場で質問してください。
初めての一歩を踏み出した自分を褒めてあげてください
心身の不調を感じてから、受診を決めるまでには、様々な葛藤や勇気が必要だったと思います。そして、実際に予約を取り、病院へ行き、医師に話をすることは、さらに大きなエネルギーを使います。
今日、このページを読んでいるあなたは、まさにその一歩を踏み出そうとしている、あるいは既に踏み出した方かもしれません。それは、ご自身の心と体を大切にしようとする、素晴らしい行動です。どうか、その一歩を踏み出した自分を、優しく褒めてあげてください。
一度の診察で全てが解決するわけではありませんが、誰かに話を聞いてもらい、専門家のアドバイスを得ることは、回復への大切なスタート地点になります。一人で抱え込まずに、専門家の力を借りることも、自分を守るための大切な選択肢の一つです。
もし、今回うまくいかなかったと感じても、落ち込む必要はありません。医療機関との相性もありますし、時間がかかることもあります。焦らず、ご自身のペースで、心の回復への道を歩んでいきましょう。
このページが、あなたが診察に臨むにあたって、少しでも心の準備になり、安心感につながれば幸いです。