みんなの回復ノート

『頑張れない』と感じるあなたへ。それは病気のサインかもしれません。自分を責めないで知ってほしいこと

Tags: うつ病, 初期症状, 頑張れない, 自分を責めない, セルフケア, 相談

「なんだか体がだるいな」「前は簡単にできていたことが、今はすごく億劫だ」「何もする気が起きない…」

もし今、あなたがそんなふうに感じていて、「自分はなんてダメなんだ」「もっと頑張らないと」と自分を責めてしまっているなら、少し立ち止まって考えてみてほしいことがあります。

その「頑張れない」という感覚は、もしかしたら、うつ病のサインかもしれません。そして、それはあなたの心が弱いからでも、あなたが怠けているからでもありません。

このサイトは、うつ病を経験した人たちが、自分の体験を共有したり、回復に役立つ情報を得たりするための場所です。今、「もしかして自分もそうかな?」と感じ始めたばかりのあなたに、まず知っておいてほしいことをお伝えします。

『頑張れない』は「心の弱さ」や「甘え」ではないかもしれません

うつ病の症状の一つに、「意欲や活動性の低下」があります。これは、これまで当たり前にできていた仕事や勉強、家事、趣味などに対する興味を失ったり、それらを行うためのエネルギーが湧かなくなったりする状態です。

体が鉛のように重く感じたり、布団から起き上がるのがつらかったり、何かを決めたり行動に移したりするのが難しくなったりします。頭がぼんやりして、考えがまとまらないこともあります。

このような状態にあるとき、多くの人は「自分が怠けているだけだ」「もっと気合を入れないと」「これは心の甘えだ」と自分を厳しく責めてしまいがちです。真面目で責任感が強い人ほど、この傾向は強くなるかもしれません。

でも、これは「甘え」ではありません。うつ病は、脳の働きに偏りが生じることなどが関係して起こる「病気」です。病気によって、意欲や活動性を調整する部分の機能が一時的にうまく働かなくなっている可能性があるのです。

風邪をひいたときに体がだるくて動けないのと同じように、うつ病という病気によって、心が、体が、「頑張れない」状態になっていると考えられます。

自分を責めることから、少し離れてみませんか

「頑張れない」自分を責め続けることは、さらなる心の負担となり、症状を悪化させてしまうことにもつながりかねません。

まずは、「頑張れない」という今の状態が、あなたのせいではないかもしれない、病気というものが関係しているのかもしれない、と受け止めてみることから始めてみませんか。

自分を責めるのをやめて、「今はこういう状態なんだな」と、ありのままの自分を少しだけ受け入れてあげる練習をしてみましょう。それは決して諦めることではなく、回復への第一歩となり得ます。

『頑張れない』と感じている今、できること

では、「頑張れない」と感じているとき、具体的にどんなことができるでしょうか。

1. まずは心と体を休ませることを優先する

頑張れないのは、心や体が休息を求めているサインかもしれません。無理に「頑張ろう」「何かやらなきゃ」と焦る必要はありません。まずは、十分な睡眠をとる、静かな場所で横になるなど、意識的に休息の時間を持ちましょう。完璧な休息でなくても大丈夫です。少しでも心や体が休まることを試してみてください。

2. 信頼できる人に話してみることを考える

一人で抱え込んでいると、「頑張れない」つらさがさらに増してしまうことがあります。もし、家族や友人など、安心して話せる人がいるなら、「最近、なんだか体がだるくて、何もする気が起きないんだ」「前に比べて頑張れなくて、つらいんだ」といった気持ちを、できる範囲で伝えてみることも一つの方法です。話すことで、気持ちが少し楽になったり、誰かと繋がっている安心感を得られたりすることがあります。

3. 専門家に相談することを考えてみる

「頑張れない」状態が長く続いたり、他のつらい症状(眠れない、食欲がない、ゆううつな気持ちが続くなど)も伴っていたりする場合は、医療機関(心療内科や精神科)や専門の相談機関に相談してみることも大切です。専門家は、あなたの状態を医学的な視点から判断し、適切なアドバイスやサポートをしてくれます。相談することは、決して特別なことではありません。自分の心と体を大切にするための、勇気ある一歩です。

4. 『最低限』にハードルを下げる

「頑張れない」ときに、これまで通りのレベルで家事や仕事をこなそうとするのは非常に難しいことです。目標のハードルをうんと下げてみましょう。例えば、「部屋全体を掃除する」ではなく「机の上だけ片付ける」、「料理を作る」ではなく「コンビニでお弁当を買う」、「仕事で完璧な資料を作る」ではなく「まずはメールだけチェックする」などです。そして、その「最低限」のこと、今日できたこと一つ一つに目を向け、「これだけでもできた」と自分を認め、褒めてあげてください。小さな成功体験を積み重ねることが、自信を取り戻すことにつながります。

あなたは一人ではありません

今、あなたが感じている「頑張れない」というつらさは、多くのうつ病経験者が通ってきた道でもあります。あなただけが特別にダメなのではありません。

回復への道のりは、一人で全てを背負い込む必要はありません。周りの人や専門家、そして私たち「みんなの回復ノート」のような場所が、あなたの力になることを願っています。

「頑張れない」自分を責めるのではなく、まずはそのサインに気づき、自分を大切にすることから始めてみてください。ゆっくりと、あなたのペースで、一歩ずつ進んでいくことができます。