『何を話せばいいか分からない』うつ病かもしれないあなたが、つらい気持ちを周りに伝えるヒント
『何を話せばいいか分からない』その気持ち、とてもよく分かります
最近、気分の落ち込みや意欲の低下を感じていて、「もしかして、うつ病かもしれない」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。そんなとき、誰かに話を聞いてもらいたいと思っても、「一体何を話せばいいんだろう」「うまく説明できない」と感じて、ためらってしまうことはありませんか。
つらい気持ちを抱えているのに、それを言葉にするのが難しく、「何をどう伝えたらいいか分からない」と感じるのは、決してあなただけではありません。むしろ、多くの方が同じような経験をしています。
このサイトには、うつ病を経験した様々な方が、それぞれの体験やそこから得た学びを共有してくださっています。この記事では、もしまだ誰にも話せていないあなたが、「つらい気持ち」を少しでも周りに伝えるための、ほんの小さなヒントをご紹介したいと思います。
なぜ、つらい気持ちを「話す」のが難しいと感じるのでしょう?
つらい気持ちを誰かに話すことには、いくつかのハードルがあるものです。例えば、次のような思いから、話すことをためらってしまうことがあるかもしれません。
- 何を話せば、自分の状況を分かってもらえるのか分からない
- 話しても、きっと理解してもらえないだろう
- こんな話をしたら、相手に迷惑をかけてしまうのではないか
- 自分の感情や状況が複雑すぎて、言葉にできない
- 話すことで、今の関係性が変わってしまうのが怖い
これらの気持ちは、ごく自然なものです。特に、心や体の調子がすぐれないときは、考えがまとまりにくくなったり、ネガティブな方向に捉えがちになったりすることもあります。だから、話すのが難しいと感じていても、自分を責める必要は全くありません。
最初の一歩として「何を話せばいいか分からない」を乗り越えるヒント
それでも、「このまま一人で抱え込むのはしんどいな」と感じているなら、少しだけ勇気を出して、誰かに話してみることを考えてみませんか。もし「何を話せばいいか分からない」と感じているなら、次のようなことから始めてみるのはどうでしょうか。
完璧に話そうと思わない
自分の状況を完璧に説明しよう、原因から結果まできちんと伝えよう、などと気負う必要はありません。まずは「なんだかしんどい」「つらい感じがする」といった、たった一言だけでも良いのです。最初の目的は、「話す」という行為そのものに慣れること、そして、誰かに自分の状態を「知ってもらう」ことだからです。
具体的な出来事を話してみる
もし、自分のつらい気持ちの原因がはっきり分からないとしても、最近の具体的な変化や出来事を話してみるのも一つの方法です。
- 「最近、夜なかなか眠れなくて」
- 「ご飯がおいしいと感じられなくなって」
- 「前は好きだったことが、何も楽しめなくなった」
- 「朝起きるのがすごくつらい」
- 「会社(学校)に行く準備をするのに、すごく時間がかかるようになった」
このように、具体的な体の変化や、日常生活での困りごとから話してみることで、相手もあなたの状況を少し理解しやすくなりますし、あなた自身も話しやすくなることがあります。
感情そのものを率直に伝えてみる
具体的な理由が分からなくても、感じている感情をそのまま伝えてみることもできます。
- 「なんだかいつも不安な感じがする」
- 「理由はないけれど、ずっと悲しい気持ちが続いている」
- 「何もする気が起きなくて、自分がダメに思える」
- 「心が空っぽになったみたい」
感情を言葉にするのは難しいことですが、「今、こんな感じがする」と率直に伝えてみることで、周りの人もあなたの内面で何が起きているのかを感じ取ってくれるかもしれません。
「〜してほしい」ではなく「〜だと感じている」と伝えてみる
相手に何か具体的な行動を求めるのではなく、「私は今、こう感じています」「私には今、こういうことが起きています」というように、主語を自分にして話してみると、相手も受け止めやすくなることがあります。
例:「もっと優しくしてほしい」ではなく「なんだか心が弱っていて、少しのことで傷つきやすく感じています」 例:「何も手につかなくて困る」ではなく「体が鉛のように重くて、動くのがつらく感じます」
このように、自分の状態を「報告する」ような気持ちで話してみるのも一つの方法です。
話す前にメモに書き出してみる
もし、口頭で話すのが難しいと感じるなら、自分の気持ちや状況を紙やスマートフォンのメモ帳に書き出してみるのも有効です。書き出すことで、自分の考えや感情が整理されることがあります。そして、そのメモを見ながら話したり、場合によってはメモそのものを相手に見せたりすることもできます。
誰に、どのように話してみますか?
話を聞いてもらう相手は、あなたが「この人なら少し話せるかも」と感じる人なら誰でも構いません。
- 信頼できる家族や友人
- 学校の保健室の先生やカウンセラー
- 職場の同僚や上司、相談窓口
- 大学や自治体の相談窓口(保健所、精神保健福祉センターなど)
- すでに受診を決めている場合は、医療機関のスタッフ
最初からすべてを話す必要はありません。「最近、ちょっと体調が良くなくて」「少し話を聞いてほしいんだけど、今大丈夫かな?」といったように、まずは切り出しやすい言葉でアプローチしてみましょう。
もしかしたら、話してもすぐに状況が好転しないかもしれませんし、相手があなたの期待通りに反応してくれないこともあるかもしれません。それでも、「話す」という行為そのものが、一人で抱え込む状況から抜け出すための一歩になります。自分の内にあるつらい気持ちを外に出すことは、それだけで心の負担を少し軽くすることにもつながります。
話すことは、自分を大切にするための一歩
つらい気持ちを誰かに話すことは、弱さを示すことではありません。むしろ、自分の心と体を大切にしようとする、強さのある行動です。そして、「何を話せばいいか分からない」と感じながらも、話そうと決めたあなたは、すでに回復への小さな一歩を踏み出しています。
すぐにうまく話せなくても大丈夫です。一度話して終わりではなく、少しずつ、自分のペースで、信頼できる相手に心の内を伝えていく練習だと思ってください。
このサイトには、同じように悩んだり、回復への道を歩んでいる仲間がいます。匿名で自分の気持ちを書き出してみることも、一つの「話す」方法かもしれません。
一人で抱え込まず、まずは「少しだけ話してみようかな」という気持ちを持ってみませんか。あなたのつらい気持ちが、少しでも和らぐことを心から願っています。